2017年04月29日
今が “ その時 ” だったりして・・・
どこだか解りにくいからか、
この方向の写真はあまり使われないみたいですけど、
この角度の奈良ホテルも好きです。
『 一九四一年十月十日、奈良ホテルにて 』
で始まるエッセイです。

以前は、奈良って和歌山と同じくらい田舎だと思っていて、
比較にならないくらい都会だと認められるようになるのに
随分時間がかかりました。
イメージ通りの奈良。
田んぼや、すすきの野原みたいな広いところに、
古いお寺や集落がぽつんとある風景が
( 夕景で、建物はシルエットだったりします。 )
まだこのエッセイの時代には残っていて、
自然に自分がその風景に入り込めるんですね。
読みやすい文章ではないけど、写真集みたいな後口なのが不思議。
にしても、
最初の日付が、和暦では昭和16年10月10日、
最後に出てくるのが、同じ年の12月4日。
真珠湾を攻めて大きな戦争に突入する4日前なんですね。
もっと言うと、1週間後にはマレーシア沖で、
イギリスの軍艦2隻沈めてる!
「 ホテルでダラダラ時間を過ごした。」
とか、
とりあえず「 寺をまわった。 」とか「 散歩した。 」
とか、
「 浄瑠璃寺の女の子と柿をもぐ話をした。 」
とか、のんきなんですね。
世の中がとんでもないことに向かっていても、
日々の暮らしは、そんなものなのかも知れません。